■2000年3月18・19日
■横浜・STスポット
■作・演出  藤長誠也
■出演
浅野智子/岩田直子/尾関良介/古閑史彦
近藤夏紀/佐々木朋子/佐藤 博/高良玉代
藤長誠也/松岡千香/松本真弓/山下真美
■スタッフ
音響 飯田正和
照明 小笠原準二
美術 五木見奈子
広報 島崎 剛













ごあいさつ

 劇団D.M.C.第4回公演です。今回、初めてちょっとしたコスチュームプレイになりました。コスプレです。といってもしずかちゃんのカッコをして「のび太君エッチ」とかいうやつでも、看護師のカッコをして「ダメよ先生、注射器の使い方が違う…」とかいうやつでもありません。ちょっと架空のお国の物語です。
衣装を着てやるお芝居です。とはいえ、衣装を着ないお芝居はほとんどないと思います。もしあったら私たちに教えて下さい。是非観てみたいです。
 とすると、芝居は全部コスプレになっちゃって、私の話、矛盾していますね。えーっと、簡単に言えば、「ロミオとジュリエット」や「宝塚」はコスプレで、「舞台版 渡る世間は鬼ばかり」はコスプレではないと言うことです。
 そんなコスプレの説明はともかく、今回はコスプレです。だから私たちは、今回コスプレイヤーです。そんなイカした私たちを道で見かけたら「いよっ!このコスプレイヤー!!」と声をかけて下さい。絶対に振り向きません。
 さて、与太話はそろそろ終わります。何年か前の話。
 「大学時の友人の話です。彼は田舎から東京の大学に通うために彼女も田舎において東京に上京してきました。見た目はどちらかと言えば女性には軽いと思われる顔をしていましたが、実は女性に対しては一途なヤツでした。合コンに誘ってもなかなか来るタイプではなく、「彼女がいるから行けない」というヤツでした。
 東京に来て初めての夏休み、彼は田舎に帰りました。そして3ヶ月ぶりに会った彼女は彼にこう告げました。『好きだけど、無性に寂しくなるときがあるの。どうしたらいい?』考えた彼はその後、毎日電話をするようになり、手紙を出すようになり、無理をしてでも週末に田舎に帰るようになり、その足代のために寝る間も惜しんでバイトするような日々を過ごしていました。
 そして、その年のクリスマスも迫った12月。彼女は彼に泣きながらこう告げたそうです。『あたしのために、そんなに無理をして欲しくない』。そして、二人の恋は終わりました。二人はお互いに好きなのに別れるという結論を選びました。彼がしばらく恋愛はいいや、とつぶやいたのがとても印象的でした。
 彼が彼女のためにいろいろな努力をしたことも、彼女が無理して欲しくないと伝えたことも素敵な行為だと思います。でも二人は終わりました。二人は距離に負けたわけでもなく、お金に負けたわけでも、寂しさに負けたわけでもない。ただ、相手を思いやる強さに自分の恋が負けたのだと思いました。
 何も原因がなくても不幸な結果に終わってしまうもの。それが恋愛だと思います。恋人とは別れるか、結婚して死に別れるか二つに一つです。でも、二人は結果が別れることになっても、相手を不覚思いやれる素晴らしい過程を過ごすことができたのです。僕はそこまでお互いに相手を深く思いやれた二人、そして恋愛というものに悲愴なやるせなさを感じました。」
 やるせなさといえば、最近のミニスカート。やりすぎです。お前ら、わざとパンツ見せてるだろうと思えるくらいのヤツ。逆にもう薄汚くすら見えてしまうのが不思議なところです。やはり大事なのは、ちらりズムです。ちらりズムで思い出しましたが、衣装を着ないお芝居、実はありました。思い出しました。何年か前に、裸の男女がいっぱい出てきて、笑顔で踊っている外人さんのお芝居がありました。日本公演ではいろいろな規制があるらしく、大事なところは隠されていましたが裸でした。性の解放!という感じで、それはそれでつまらないなあと思った記憶があります。
 やはりちらりズムです。前言撤回です。衣装を着ない芝居は別に見たくないです。やっぱり教えないで下さい。
 では「Garden of...」始まります。キーワードは、コスプレとやるせなさと旅人です。

作・演出  藤長誠也
 
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